安心からはじまるクオリティ・オブ・ライフ《生活の質》を高める医療を。

北水会記念病院

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泌尿器科

泌尿器科が扱う領域を大きく2つに分けると、尿路系・生殖器系となります。腎臓から尿道を対象とするのが尿路系、生殖器系は男性なら精巣・陰嚢から前立腺・陰茎まで、女性ですと子宮や膣が対象となります。

これまで泌尿器科は男性生殖器へのアプローチが主でしたが、骨盤臓器脱の治療を中心に女性のための診療が増えてきています。

身体の不調や違和感を放置せず、気になることがありましたら何なりとご相談ください。患者さん主体の医療を提供していきたいと考えております。

目次
  1. 尿もれでお困りの方
  2. 下腹部の違和感でお困りの方
  3. よくあるご質問
  4. 医師紹介

1.尿もれでお困りの方

「尿もれ」とひとことで言っても様々な症状があり治療方法も異なります。
まずはどんな自覚症状があるか確認してみましょう!

切迫性尿失禁とは?

膀胱が無意識の内に暴走して突然に尿意が襲い失禁する病態。膀胱の暴走は安静時よりは活動時に、かつ横になっているより立っている姿勢により多く発生する。そのため夜間にはその発生頻度が低くなる。

切迫性尿失禁の治療について
骨盤底筋体操(※1)、電気刺激療法(※2)、薬物療法(※3)で治療します。

腹圧性尿失禁はなぜ起こるのか?

尿道を支える筋肉が傷み、ゆるんでいるのが原因です。尿もれは、出産経験のない女性の場合、経験者が13%*なのに対し、出産経験のある女性の場合は50.4%*まで上がります。分娩回数の多い人ほど尿もれを起こしやすい傾向にあります。

*「出産経験と尿もれ」東玲子他 山口医学52:237,2003より

腹圧性尿失禁の治療について
下部尿路リハビリテーション(骨盤底筋体操(※1)、膀胱訓練(※4)、電気刺激療法(※2))、薬物療法(※3)、手術等で治療します。
薬物療法はβアドレナリン刺激薬、手術は尿道スリング手術(TVT手術、TOT手術)を採用しています。

過活動膀胱はなぜ起こるのか?

40歳以上の女性の10人に1人がかかっている*といわれる過活動膀胱。原因は主に神経系のトラブルと骨盤底筋のトラブルに分けられます。
神経系のトラブルとは、脳卒中や脊髄損傷の後遺症で、脳と膀胱の筋肉を結ぶ神経の回路に障害が起きた場合をいい、骨盤底筋のトラブルとは、出産や加齢によって、子宮・膀胱・尿道などを支えている骨盤底筋と呼ばれる筋肉が弱くなって起こる場合をいいます。これら以外にも、何らかの原因で膀胱の神経が過敏に働く場合や、原因が特定できない場合も多くみられます。

*「過活動膀胱の有病率」本間之夫他:日本排尿機能学会誌14(2):1,2003

過活動膀胱の治療について
行動療法(生活指導、膀胱訓練(※4)、骨盤底筋体操(※1))、薬物療法(※3)、電気刺激療法(※2)で治療します。
生活指導とは、「水分やカフェインを摂り過ぎない」「早めにトイレに行く」「トイレの場所を確認しておく」といった生活習慣の改善を指します。薬物療法は抗コリン薬、β3刺激薬を用います。

※1)骨盤底筋体操とは

膣と肛門を意識的に締めたり緩めたりする体操です。
仰向けに寝た状態や、這いつくばった姿勢、机に手をついた状態、イスに腰掛けた状態などで行います。

※2)電気刺激療法とは

骨盤底筋などに電気刺激を与える方法です。電気刺激を受けることで筋肉や神経の機能を向上させることが目的で、尿失禁や頻尿を改善させるだけでなく、骨盤臓器脱にも効果が認められています。

※3)薬物療法とは

β刺激薬:腹圧性尿失禁の軽症の方に有効です。腹圧に対し、尿道の抵抗を上げて尿がもれるのを防ぎます。 抗コリン薬:切迫性尿失禁、過活動膀胱に有効です。膀胱をリラックスさせることで膀胱の勝手な収縮を抑え、尿が溜まるのを促します。

Q1:薬は毎日飲まなければいけないのですか?
A1:毎日指示通りに飲むようにしてください。

Q2:抗コリン薬を飲むようになってから口の中が乾くのですが…
A2:抗コリン薬の副作用として口の中が乾くことがあります。医師に相談し、薬の量、飲む時間帯などを調節します。

※4)膀胱訓練とは

頻尿や尿意切迫感のある人が排尿をがまんする訓練。骨盤底筋体操を行いながらがまんすると副交感神経の働きを高め、効果が高まります。具体的には15分~60分単位で、少しずつがまんする間隔を延ばしていきます。目標は2~3時間がまんできる状態です。

2. 下腹部の違和感でお困りの方

変調に気づいたらひとりで悩まないで専門医に相談しましょう

  • 骨盤臓器脱(POP)とは?

    子宮・膀胱・直腸などの骨盤内の臓器が膣から下垂し、出てくる病気の総称です。以前は子宮脱、膀胱瘤、直腸瘤と呼ばれていました。

  • 何が下がってくるの?

    下がってくる臓器は膀胱が64%と一番多く、直腸が22%、子宮は14%と意外に少なくなっています。

骨盤臓器脱の原因
出産、閉経による女性ホルモンの低下(更年期)、肥満や便秘も骨盤臓器脱の原因になります。

骨盤臓器脱の検査方法
鎖膀胱造影検査、CT、MRI等を用いて行います。

骨盤臓器脱の治療方法
ホルモン療法:女性ホルモンを使用します。
膣内挿入器具(ペッサリー)(※1)
手術(TVM手術)による治療(唯一の根本的な治療です)
サポーター(フェミクション)(※2)

  • ※1)膣内挿入器具(ペッサリー)

    対症療法であり違和感、痛みを伴うことがあります。出血、感染などのリスクもあり、長期的な治療は難しいといえるでしょう。

    ペッサリー療法

  • ※2)サポーター(フェミクション)

    下着状のサポーターと柔らかいクッションで下着感覚で身につけることができます。

    クッション・ホルダー・サポーターの装着イメージ
    (※実際の症例とは異なる場合がございます)

3. よくあるご質問

  1. 1. 骨盤臓器脱は多いのですか?

    非常に多い病気です。スウェーデンの調査では出産経験者の44%に骨盤臓器脱が認められると報告されています。米国の調査では80歳までに9人に1人が骨盤臓器脱または尿失禁で治療が必要になるといわれています。

  2. 2. 放っておいたらどうなるの?

    骨盤臓器脱に自然治癒はありません。下がった臓器は元の位置に自然に戻らないからです。いつかは治療が必要になります。

  3. 3. どうなったら受診したらいいの?

    臓器が下がることで「困るなあ」「いやだなあ」「気持ち悪いなあ」と思うようになったら受診されるタイミングです。この病気は生活の質にかかわる病気ですので、患者さんの自覚症状が最も重要です。

  4. 4. 受診は婦人科に?泌尿器科に?

    これまでは子宮をとるような手術をしていましたので産婦人科でみることがほとんどでした。現在は子宮をとらない手術ができるようになり、泌尿器科でも治療するようになりました。

  5. 5. メッシュは溶けないのですか?

    メッシュは一般の手術のときに、血管を縫うプローリンという糸を編んでつくっています。これは非吸収性で溶けない糸ですので、メッシュも溶けません。当然、手術でつかわれる糸なので、溶けなくても体に害を与えることはありません。

  6. 6. メッシュがどのようにして臓器を支えるのですか?

    メッシュのまわりを患者さん自身の細胞がとりかこみ、人工の筋膜のようになることで、骨盤臓器を支えます。メッシュは溶けない素材のため、のびずに骨盤臓器を支えることができます。

  7. 7. メッシュはどこに固定するのですか?

    メッシュにはアームといわれる部分があり、骨盤の中の靱帯を脚が貫くようにして固定します。 このアームは縫って固定するものではありません。メッシュは表面がざらざらしているため、メッシュの脚が靱帯の中を貫くことで固定されます。しかしながら、初めのうちは固定が十分でないので、術後1ヶ月程度は激しい運動をしないようにします。

  8. 8. 再発はしないのですか?

    この術式は7 年程度のデータしかないので、長期成績は不明ですが、おそらく従来の方法と比べてかなり低くなることが予想されます。短期のデータでは再発率は5%以下といわれています。

  9. 9. 鼠径ヘルニアもメッシュ手術をすると聞いたのですが?

    その通りです。もともと鼠径ヘルニアでは30 年以上前からメッシュ手術が行われていて、メッシュを使わない方法よりメッシュ手術の方が有効性も安全性も高いということが証明されています。骨盤臓器脱では、鼠径ヘルニアに使用するメッシュより軽くてしなやかなメッシュが使用されます。

  10. 10. メッシュ手術に特有の合併症ってあるのですか?

    メッシュが傷口からでてくる膣びらんという合併症があります。頻度は1~5%程度といわれています。

  11. 11. その他の一般的な合併症についても教えてください?

    出血、血腫、痛み、発熱、深部静脈血栓症、排尿困難などが起こりうる合併症です。従来法とくらべてこれらの頻度は大幅に減少しております。

  12. 12. 子宮はとらなくてはいけないの?

    メッシュ手術は子宮をとる必要はありません。最近では子宮を取らない方が合併症も少ないというデータも出ています。

  13. 13. 以前子宮をとっていますがメッシュ手術はできますか?

    メッシュ手術は以前に子宮をとられた方にも十分対応できます。そのような方には従来法ではかなり難しい手術でしたが、メッシュ手術では実施可能です。

  14. 14. 尿もれの治療も同時にできますか?

    骨盤臓器脱と尿もれの治療を同時に行うかについては、議論がわかれるところです。症状や病態などで、ケース・バイ・ケースで判断しています。

4. 医師紹介

佐藤 広高(さとう ひろたか)

日本泌尿器科学会専門医・指導医

泌尿器科一般の疾患を診療しますので何なりとご相談ください。骨盤臓器脱(膀胱脱、子宮脱、直腸脱)に対するメッシュ手術を現在までに150例施行しています(平成23年1月から)。本年秋から腹腔鏡下膣仙骨固定術も導入予定です。
尿失禁のテープ手術(TOT)も行っています。現在までに50例施行しています(平成23年1月から)。
尿路結石症に対してはホロミウムレーザーによる内視鏡手術(硬性鏡、軟性鏡)を行っています。女性骨盤臓器脱手術、尿失禁手術や尿路結石症手術はいずれも低侵襲であり短期間(クリティカルパスの利用)の入院で対応していますので遠慮なさらず何なりとご相談ください。

診察曜日:月曜日、火曜日、水曜日、木曜日、金曜日、土曜日
経歴:平成9年 日本大学医学部 泌尿器科学教室へ入局 平成9年から11年まで日本大学医学部附属板橋病院、駿河台日本大学病院にて研修 平成11年から16年まで日本大学医学部泌尿器科研究医員として勤務 平成15年 日本大学医学部大学院修了、学位取得(前立腺癌の遺伝子異常の解析) 平成16年より東京都立豊島病院泌尿器科に勤務 平成17年より日本大学医学部附属練馬光が丘病院泌尿器科に勤務 平成21年より小豆畑病院に勤務 平成27年4月より北水会記念病院に勤務
所属学会:日本泌尿器科学会、日本泌尿器内視鏡学会、日本女性骨盤底学会

業績

第41回日本癌治療学会総会 2003年10月22−24日
Dual-color FISH法による前立腺癌の発生、進展に関与する遺伝子異常の解析 筆頭

第41回日本癌治療学会総会 2003年10月22−24日
Bosniak分類Category IIIの再評価 特に画像所見と術中所見との比較 / 嶺井定嗣 佐藤広高

第41回日本癌治療学会総会 2003年10月22−24日
表在性膀胱癌における上部尿路再発の検討 / 森田恒太郎 佐藤広高

第42回 日本癌治療学会総会 2004年10月27日
マルチスライスCTを用いた尿路上皮癌のスクリーニング / 嶺井定嗣 佐藤広高

東京地方会 2003年 2月21日
同一腎に淡明細胞癌と乳頭状腎細胞癌が認められた腎細胞癌の一例 筆頭

第27回 SIU 2004年10月3日
Fluorescence in situ hybridization (FISH) analysis of c-myc amplification and loss of P53 in stage T3 N0 M0 prostate cancer in Japanese patients

第43回日本癌治療学会総会 2005年10月26日
前立腺全摘除術後外科的切除縁陽性例の遠隔成績と予後規定因子の検討 / 蜂矢隆彦 佐藤広高

第91回日本泌尿器科学会総会 2003年4月2日
Stage C前立腺癌におけるFISH法による7,8,16番染色体数的異常の解析 筆頭

第98回 AUA 2003年4月26日
FLUORESCENCE IN SITU HYBRIDIZATION (FISH)
ANALYSIS OF C-MYC AMPLIFICATION IN STAGE
T3 N0 M0 PROSTATE CANCER IN JAPANESE PATIENTS

第94回日本泌尿器科学会総会 2006年4月12日
根治的前立腺全摘除術後の尿禁制に関する検討 / 山中弥太郎 佐藤広高

第94回日本泌尿器科学会総会 2006年4月12日
Bellini管癌(集合管癌)の臨床的検討 / 吉沢剛 佐藤広高

第78回日本泌尿器科学会東部総会 2013年10月17日
当院におけるTVM手術合併症に関する臨床的検討 筆頭

第16回日本女性骨盤底医学会 2014年7月12日
当院におけるTVM手術前後の過活動膀胱合併例の検討 筆頭

第79回日本泌尿器科学会東部総会 2014年10月12日
過活動膀胱を合併した骨盤臓器脱患者におけるTVM手術前後の下部尿路症状についての検討 筆頭

第17回日本女性骨盤底医学会 2015年8月1日~2日
当院におけるポリフォームメッシュ使用TVM手術の比較検討

第104回日本泌尿器科学会総会 2016年4月23日~25日
当院におけるポリフォームメッシュ使用TVM手術周術期の検討

第18回日本女性骨盤底医学会 2016年6月11日~12日
当院における腹腔鏡下仙骨膣固定術(LSC)の初期経験 / 佐藤広高 佐藤克彦 持田淳一 安部弘和

論文

2006年6月 13巻 6号 761−766
Fluorescence in situ hybridization analysis of c-myc amplification in stage T3N0M0 prostate cancer in Japanese patients 筆頭

2004年12月 11巻12号 1133-1135
Multicentric liposarcoma. 筆頭

2002年7月 9巻7号 398-401
Combined tumor consisting of non-functioning adrenocortical adenoma and pheochromocytoma in the same gland. 筆頭

2002年11月 61巻11号 396-402
日大医学雑誌
局所浸潤性前立腺癌におけるFISH法を用いたc-myc遺伝子異常の解析 筆頭

2003年12月 12巻2号 114-119
日本小児泌尿器科学会雑誌
乳児期までに発見された水腎症の検討 / 吉田利夫 佐藤広高

2003年3月 16巻3号 241-244
泌尿器外科
嫌色素細胞性腎癌の4例 / 咲間隆裕 佐藤広高