安心からはじまるクオリティ・オブ・ライフ《生活の質》を高める医療を。

北水会記念病院

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泌尿器科の手術

泌尿器科が扱う領域を大きく2つに分けると、尿路系・生殖器系となります。腎臓から尿道を対象とするのが尿路系、生殖器系は男性なら精巣・陰嚢から前立腺・陰茎まで、女性ですと子宮や膣が対象となります。

これまで泌尿器科は男性生殖器へのアプローチが主でしたが、骨盤臓器脱の治療を中心に女性のための診療が増えてきています。身体の不調や違和感を放置せず、気になることがありましたら何なりとご相談ください。患者さん主体の医療を提供していきたいと考えております。

泌尿器科手術を知るための5つのポイント
  1. 尿道スリング手術(TVT手術、TOT手術)
  2. 腹腔鏡下仙骨腟固定術(LSC)
  3. HoLEP(ホルミウムレーザー前立腺核出術)
  4. f-TUL(経尿道的尿路結石手術)
  5. 医師紹介

1. 尿道スリング手術(TVT手術、TOT手術)

手術方法
膣の壁を1cmほど切開し、メッシュ状のテープを入れて尿道を支えます。
有効性
手術の有効性も高く、完全に治ってしまう人と、大幅に改善する人を合わせると改善率は90%程度です。
手術時間
約30分程度で、手術3日後には退院できます。
対象年齢
30代~90代まで手術は可能です。

TVTとTOTの違い

TVT(tension-free-vaginal tape)手術は1993年に開始されました。その低侵襲性、成功率の高さ、再発率の低さから、腹圧性尿失禁手術のスタンダードとなります。しかし、症例の蓄積につれて腸管穿孔や大血管の損傷などが報告され、より安全な術式としてTOT(trans-obturator tape)手術が考案されました。

TOT手術は骨盤内手術の既往のある方や放射線療法後の方にもほぼ安全に行えます。当院では第一選択としてTOT手術を行い、腹圧性尿失禁が残存した場合にはTVTを追加して行うことを提案しております。

2. 腹腔鏡下仙骨腟固定術(LSC)

腹腔鏡下仙骨腟固定術(Laparoscopic Sacral Colpopexy, LSC)は腹腔鏡下に骨盤臓器脱を治療する方法です。
欧米では骨盤臓器脱の治療のゴールドスタンダードとして以前から行われてきた術式ですが国内では先進医療として限られた施設でしか手術を受けることができませんでした。平成26年4月からは健康保険の適応となり、届け出をした施設では保険診療としてこの手術が行うことができるようになりました。

腹腔鏡を用いた仙骨腟固定術(LSC)治療の特徴

利点
  • 膣をさわらないので性交渉に対して影響がほとんどない
  • 痛みが非常に少なく出血が極めて少ない
  • 再発が極めて少ない
  • 股関節に病気があり、開脚制限があっても対応可能
欠点
  • 手術時間がやや長い(約2.5時間)

3.HoLEP(ホルミウムレーザー前立腺核出術)

前立腺肥大症の手術

前立腺肥大症の手術は、切除(切る)・核出(くり抜く)・蒸散(蒸発させる)の3つがスタンダードな方法です。各々に一長一短はありますが、レーザーを用いた核出・蒸散が安全にかつ治療期間も比較的短時間で済むため、この10~15年間で普及してきました。
当院ではその中でも、HoLEPといわれるレーザーを用いた“核出術”を標準治療としております。
もちろん、状況に応じて従来通りの手術を施行することも可能です。

HoLEPとは

HoLEPとは、ホルミウム・ヤグレーザーという種類のレーザーを利用した手術です。
当院では全身麻酔下で治療を行います。内視鏡を尿道から前立腺に挿入。レーザーファイバーを前立腺の内腺(前立腺の肥大する部分)と外腺(前立腺の外壁の部分)の境目に挿入します。レーザー光を照射しながら、肥大した内腺を外腺から核出(くり抜き)します。一旦くり抜いた前立腺を膀胱内に落とし、別の機器(モルセレーター)で細切・吸引しながら体外に排出します。
前立腺はミカンの構造に例えられます。ミカンの実を前立腺の内腺、皮を外腺と例え、実と皮の境界はミカンの如くきれいにはずせるということは昔から知られていました。その境界は、レーザーを用いることで安全に切り離すことが可能になり、内線(実)からの出血を極力抑えることができるようになりました。従来の手術は、例え通りで言えばミカンの実をそのまま削っていたことになり、果汁(=出血)がやや多くなる傾向がありましたが、この方法でほとんど解決されました。
HoLEPにより術後の尿道カテーテル留置期間が短縮され、入院期間も短縮されています。

4. f-TUL(経尿道的尿路結石手術)

手術方法
軟性、細径の尿管鏡やレーザーファイバーを用いて、結石を砕石する方法。当院では、可動性の増した軟性尿管鏡(URF-V2:オリンパス社)とホルミウムレーザー(バーサパルスパワースイート:ルミナス社)を使用したf-TULを導入しています。
有効性
f-TULという新しい治療法により、結石破砕と摘出の安全性と確実性が向上し、腎臓内部の結石まで砕石し摘出できるようになりました。
手術時間
麻酔を含めて2時間程度です。
入院期間
4~4日間です。尿管ステントの抜去は術後の状態によりますが、約2週間後に外来にて内視鏡を用いて行います。

画像提供:ボストン・サイエンティフィックジャパン株式会社

ESWLとの違い

ESWLはレントゲンで結石に衝撃波の焦点を合わせて、衝撃波を当てることで結石を破砕する方法です。これは入院期間も短い利点はありますが、結石が破砕される保証はなく、細かく破砕された結石が体外に排出されるまでに疼痛や発熱などの症状を呈することもあります。一方、TULは入院し、麻酔をかけた状態で内視鏡を挿入して、結石をモニターで見ながら破砕する方法です。これはESWLに比べると2〜3日程度入院期間を要しますが、直接見ながら結石を破砕するので砕石効果を直接しることができ、また破砕した結石を直接体外に取り出すことができます。

5. 医師紹介

佐藤 広高(さとう ひろたか)

日本泌尿器科学会専門医・指導医

泌尿器科一般の疾患を診療しますので何なりとご相談ください。骨盤臓器脱(膀胱脱、子宮脱、直腸脱)に対する尿失禁のテープ手術(TOT)を行い、腹腔鏡下腟仙骨固定術は現在までに300例施行しています。(2019年5月から)
尿路結石症に対してはホルミウムレーザーによる内視鏡手術(硬性鏡、軟性鏡)を行っています。女性骨盤臓器脱手術、尿失禁手術や尿路結石症手術はいずれも低侵襲であり短期間(クリティカルパスの利用)の入院で対応していますので遠慮なさらず何なりとご相談ください。

大塚 勝太(おおつか しょうた)

日本泌尿器科学会専門医・指導医

平成31年4月より当院に着任致しました。宜しくお願い致します。
水戸では約15年間、前任施設(水戸赤十字病院)を中心に、その他の関連医療機関での泌尿器科診療に携わって参りました。泌尿器悪性腫瘍・泌尿器内視鏡手術・前立腺疾患・尿路結石症が専門ですが、排尿障害をはじめ多岐に亘る泌尿器疾患の治療経験があります。地域に根差しながら、できるだけ最新・良質な泌尿器科診療を目指しております。 高齢者の健康的な社会生活において、泌尿器疾患の管理は非常に重要です。また若年者でも泌尿器疾患の重要性は謳われております。泌尿器科を受診することは決して恥ずかしいことではありません。誰もがいつかは直面する可能性があり、実際に受診される患者様も増加しております。
泌尿器疾患でお困りのことは、遠慮なくご相談ください。佐藤医師と私の2名体制で、親切・丁寧・適切な医療をご提供できるよう精励致します。