当泌尿器科の手術について
尿道スリング手術(TVT手術、TOT手術)
手術方法 膣の壁を1cmほど切開し、メッシュ状のテープを入れて尿道を支えます。
有効性 手術の有効性も高く、完全に治ってしまう人と、大幅に改善する人を合わせると改善率は90%程度です。
手術時間 約30分程度で、手術3日後には退院できます。
対象年齢 30代~90代まで手術は可能です。
TVTとTOTの違い
TVT(tension-free-vaginal tape)手術は1993年に開始されました。その低侵襲性、成功率の高さ、再発率の低さから、腹圧性尿失禁手術のスタンダードとなります。しかし、症例の蓄積につれて腸管穿孔や大血管の損傷などが報告され、より安全な術式としてTOT(trans-obturator tape)手術が考案されました。
TOT手術は骨盤内手術の既往のある方や放射線療法後の方にもほぼ安全に行えます。当院では第一選択としてTOT手術を行い、腹圧性尿失禁が残存した場合にはTVTを追加して行うことを提案しております。
メッシュ手術(TVM手術)
2000年にフランスのグループが開始した手術。子宮をとる必要がなく、また子宮が摘出されている方にも実施が可能です。合併症が少なく、メッシュが強いため長期安定的で従来法より再発率が低いのが特徴です。本邦でも2005年よりメッシュの使用が可能となりました。健康保険が適応されます。
メッシュの素材 鼠径ヘルニアの治療で一般的に使用されるポリプロピレンメッシュです。
設置場所 膣前壁:メッシュを膣と膀胱の間に置き、膣前壁を補強します。(図1)
膣後壁:メッシュを膣と直腸の間に置き、膣後壁を補強します。(図2)
図1:メッシュ設置場所(膣前壁)
図2:メッシュ設置場所(膣後壁)
腹腔鏡下仙骨膣固定術(LSC)について
腹腔鏡下仙骨腟固定術(Laparoscopic Sacral Colpopexy, LSC)は腹腔鏡下に骨盤臓器脱を治療する方法です。
欧米では骨盤臓器脱の治療のゴールドスタンダードとして以前から行われてきた術式ですが国内では先進医療として限られた施設でしか手術を受けることができませんでした。平成26年4月からは健康保険の適応となり、届け出をした施設では保険診療としてこの手術が行うことができるようになりました。
腹腔鏡を用いた仙骨膣固定術(LSC)治療の特徴
利点
欠点
f-TUL(経尿道的尿路結石手術)
手術方法 軟性、細径の尿管鏡やレーザーファイバーを用いて、結石を砕石する方法。当院では、可動性の増した軟性尿管鏡(URF-V2:オリンパス社)とホルミウムレーザー(バーサパルスパワースイート:ルミナス社)を使用したf-TULを導入しています。
有効性 f-TULという新しい治療法により、結石破砕と摘出の安全性と確実性が向上し、腎臓内部の結石まで砕石し摘出できるようになりました。
手術時間 麻酔を含めて2時間程度です。
入院期間 4~5日間です。尿管ステントの抜去は術後の状態によりますが、約2週間後に外来にて内視鏡を用いて行います。
画像提供:ボストン・サイエンティフィックジャパン株式会社
ESWLとの違い
ESWLはレントゲンで結石に衝撃波の焦点を合わせて、衝撃波を当てることで結石を破砕する方法です。これは入院期間も短い利点はありますが、結石が破砕される保証はなく、細かく破砕された結石が体外に排出されるまでに疼痛や発熱などの症状を呈することもあります。一方、TULは入院し、麻酔をかけた状態で内視鏡を挿入して、結石をモニターで見ながら破砕する方法です。これはESWLに比べると2〜3日程度入院期間を要しますが、直接見ながら結石を破砕するので砕石効果を直接しることができ、また破砕した結石を直接体外に取り出すことができます。