よくあるご質問

なぜ脱臼しないの?
病院長である平澤は、人工股関節を初めて受ける患者様には、禁忌肢位(やってはいけない姿勢)などの指導を原則として行っておりませんが、現在の手法に変えてより450人以上の方で脱臼は生じておりません。もちろん、手術の熟練度も大きな理由の一つですが、MISでの手術を行っていること、最新のインプラントを使用していること、3次元テンプレーティングシステムで術前に入念な計画を立てていること、患者様にあったインプラントを選択していることなどが挙げられます。たとえ熟練した医師であっても、最新の技術を駆使できずに、経験にのみ頼るようなことでは、安心できる手術はできないと言えるでしょう。術後に禁忌肢位等の指導を行わないことは当院だけでなく、他院でも最先端の技術を用いていれば実現できていることです。しかし、日本国内で考えても数えるほどしかないのではないかと推測されます。
どのタイミングで手術を受けるといいですか?
この答えは、患者さんによって異なると考えられます。以前は60歳になってから手術を受けなさいと言われたものです。それは人工関節の耐用年数が15年から20年と言われているからです。しかし、現在は以前と違って、熟練した医師が行えば再置換術(入れ替えの手術)はそれほど困難ではありません。ですから、再置換の可能性があることを承知の上で行うのでしたら、年齢はいくつで行ってもいいことになります。かといって、痛みを我慢できるのに手術に進むことはありません。基本的に「痛みのせいで自分がしたいことができなくなったとき、または楽しめなくなったとき」が手術の時期であると考えていいでしょう。
入院期間はどのくらいですか?
初回手術で、70歳以下でしたら、患者さんの体力次第ですが2週間が一つの目安と考えていただいて構いません。しかし、患者さんの体力、手術前の脚長差(足の長さの違い)などによって異なってきます。細かくは外来診察時にお話しします。
術後どの程度で日常生活に支障のないところまで回復しますか?
基本的には退院時には入院前にできていたことはすべて自立して退院することになります。ですから、退院時(手術後2週間程度)には日常生活に支障はないと考えていただいて結構です。
術後、日常生活において制限はありますか?
以前は脱臼のリスクがあるので、日常生活に「しゃがんではならない、正座してはならない、あぐらをかいてはならない」などの制限が設けられておりました。しかし、当院はじめ、最先端の治療法を行っている病院では、脱臼のリスクはないと考えていただいて構いませんので、そのような制限は必要ありません。
しかし、人工関節は過度に使用すると耐用年数が短くなることが言われております。激しいスポーツ(マラソン、格闘技など)を行う際は、そのリスクを念頭に置いて、定期健診をしっかりと行うことが重要と考えます。
術後、これまでの痛みはどれだけなくなりますか?
痛みは、御本人にしかわからないので、なかなか明記することは難しいです。また長期に股関節を痛めている方は腰や膝にも痛みを抱えていることが往々にしてあります。しかし当然のことですが、手術で治るのは股関節だけですから、そこの評価が難しくなります。外来ですぐにできる検査として、股関節ブロックがあります。これは股関節内に痛み止めの注射をすることによって、手術後の状態を疑似体験できるというものです。3時間から6時間程度しか効果は続きませんが、手術に迷われているのでしたら一度この検査を受けることをお勧めします。
手術時に輸血は必要ですか?
現在MIS(最小侵襲手術)が進んできており、手術時間、出血量ともにかなり低減してきております。そのため、輸血の心配はほとんどないと考えていただいて構いません。念のため、自己血貯血を行っておりますので、手術後に御自身の血を返血することによって、他人の輸血を用いた患者様は当院では一人もいらっしゃいません。基本的に必要ないと考えていただいて結構です。
人工関節の寿命はどのくらいですか?
現在、人工関節の寿命は一般的に15年から20年と言われております。これは15年前から20年前の人工関節が今寿命を迎えているということから、言われている数字です。当然医学の世界は日進月歩ですから、現在使用している人工関節は素材の改良(セラミックの使用、第三世代ポリエチレンの使用など)によって、より長期の成績が期待できます。実験データでは30年とも35年とも推測されております。しかしこれらは実際に人体に入って経過した年数ではありませんので、当院の方針では患者様に耳によいことを無責任に言うことを控え、15年から20年と説明しております。
入院に付き添いは必要ですか?
原則必要ありません。現在人工関節は、大病院で行う命にもかかわる大手術という時代ではありません。手術翌日から歩いていただくことを考えておりますので、付き添いは不要と考えます。