肩、肘、手のスポーツ障害
反復性肩関節脱臼
繰り返し肩が脱臼することを言います。
病院や接骨院、トレーナーなど他人が整復する脱臼と自分で整復する亜脱臼があります。
脱臼や亜脱臼を繰り返していると、普段から外れそうな感じがして恐怖感を感じるようになります。
治療としてはリハビリで症状を無くすことは難しく、基本的には手術になりますが、手術内容は肩の状態や行っているスポーツ競技によって異なります。
(1)鏡視下Bankart(バンカート法)
関節鏡を用いて損傷した関節唇を修復する方法
(2)Latarjet(ラタジェ法)
肩甲骨の一部を肩関節の前方に移植する方法
SLAP損傷
投球動作の繰り返しや、ダイビングキャッチやヘッドスライディングなどの際に痛めて起こります。
症状としては投球の際の痛みが主で日常生活には支障がないことがほとんどです。
治療は基本的にはリハビリテーションで症状は改善しますが、経過によっては関節鏡を用いた手術を行うこともあります。
上腕骨骨瑞線離開(リトルリーガーショルダー)
いわゆるリトルリーガーショルダーと言われるもので、肩の部分の成長線を痛めるもので、小学校高学年くらいで起こります。
少しづつ痛くなる場合と、遠投などで力をいれて投げた瞬間に痛みが出ることもあります。
治療は安静とリハビリテーションです。
肩甲帯機能不全
投球の際の肩や肘の痛みの原因の多くは肩甲帯機能不全が原因です。
肩関節を動かす際には同時に肩甲骨も動かしています。肩関節に問題がなくても肩甲骨の動きが悪いまま投球動作を続けていくと肩や肘の痛みの原因となります。
治療はリハビリテーションで肩甲骨周囲の動きを改善させ、投球フォームの修正も行っていきます。
上腕骨内側上顆炎 外側上顆炎(テニス肘 ゴルフ肘)
肘の外側(テニス肘)内側(ゴルフ肘)が物をもったり、力を入れたりすると痛くなる病態ですが、原因は肘ではなくて、手首の使い過ぎが原因です。
ほとんどはテニス肘バンドやリハビリテーションで改善しますが、難治例の場合は関節鏡を用いた手術を行い、術後経過は良好です。
離断性骨軟骨炎(野球肘)
野球肘は外側の痛み(離断性骨軟骨炎)内側の痛み(内側側副靭帯損傷、内側上顆骨端障害)後方の痛み(肘頭疲労骨折)に分けられます。
いずれの場合もまずは投球制限をしますが、闇雲に制限を行うのではなく、リハビリテーション、投球フォームの修正を行い早期復帰を目指します。
リハビリテーションで改善が得られない場合、年齢や競技レベルを考慮して、PRP療法(自分の血液の中の細胞を取り出して注射する方法)や手術療法を行うこともあります。
TFCC損傷
テニスやバドミントンなどの手首に負担のかかる競技において手首の小指側に痛みが生じます。
転倒して手をついた際に痛めるケースも多くみられます。
装具固定や関節注射でほとんどの場合は改善しますが、手首の安定性が低い場合は手術になることもあります。
腕を捻ったり手首を小指側に曲げた時に、手関節尺側(小指側)に痛みが出現します。通常、安静時痛はありません。
ドアノブをひねる時や、鍋などを持ち上げる時などにも痛みが出ます。