股関節専門外来のご紹介

　北水会記念病院では2010年４月より股関節専門外来を開設いたしました。当外来では、股関節手術に熟練した複数の医師と豊富なリハビリテーションスタッフにより、全国的にも最先端の治療を行います。対象は、変形性股関節症、臼蓋形成不全、大腿骨頭壊死、股関節リウマチ、人工股関節のゆるみ、急速破壊型股関節症、股関節唇損傷、大腿骨寛骨臼インピンジメント（FAI: femoroacetabular impingement）などをはじめ、諸々の股関節痛を伴う疾患です。当外来では最小侵襲手術（MIS）での人工股関節全置換術、人工股関節再置換術、各種骨切り術、股関節鏡手術(股関節鏡視下手術)などを行っております。

　特に人工股関節手術はわが国有数の手術件数を誇り、茨城県内だけでなく、全国からの患者さんも多数引き受けており、手術件数は右肩上がりに増え続けております。人工股関節全置換術（THA）、人工股関節再置換術（Revision THA）を合わせた手術件数は、2019年は534例、2020年は560例、2021年は605例と、茨城県内では、他に追随を許さない手術件数であり、全国でも上位5施設に名を連ねております。

　人工股関節全置換術は筋腱を温存した最小侵襲手術（MIS）を原則として行っており、これにより早期回復、早期社会復帰を可能にするだけでなく、ほとんどの方がいわゆる脱臼肢位、禁忌肢位もなく生活することが可能となりました（もちろんしゃがみこみ、正座など和式の生活も可能です）。当院の股関節外科医は最先端の手術と早期のリハビリテーションにより、痛みをとることだけでなく退院後の生活を早期に不自由なく過ごすことを目標に治療に当らせていただきます。人工股関節置換術は、最も理想的な場所に人工股関節のインプラントを正確に設置することが術後の成績に重要なため、世界最先端のコンピュータナビゲーションやロボット手術も積極的に取り入れております。また、2022年度より股関節の内視鏡手術（股関節鏡）の専門医（日本股関節学会股関節鏡技術認定取得医）の齊藤も加わり、股関節痛に悩むすべての患者さんお一人お一人の状態に応じた、最適な治療方法・手術方法をご提案させていただくことが可能です。

　当院では、患者さんおひとりにつき複数の股関節の専門医が一緒に手術に入り、相互に協力・連携して治療にあたることで、安全で確実な手術を行っています。股関節手術に特化した経験と実績が豊富な複数の専門医、看護師、手術スタッフ、リハビリスタッフが一丸となって、患者さんの全快に向け、全力で股関節治療に当たります。股関節痛や股関節に関してお困りの患者さんは、ぜひ北水会記念病院股関節専門外来をお訪ねください。

担当医師 平澤 直之

　昨今医療の世界では専門化が進んできておりますが、整形外科の分野も例外ではありません。古くは漫画でいうブラックジャックのように脳外科から、腹部外科、胸部外科、整形外科、形成外科まで万能だった外科医もいたようですが、科学技術の発展と医療分野の細分化とともに、整形外科の分野内でも専門化が進んでおります。現在多くの病院で人工股関節全置換術が行われておりますが、手術をするだけなら経験が未熟でも可能です。しかし外科医の熟練度により明らかに術後の回復の早さ、術後脱臼の確率、人工関節の寿命が異なります。後述しますが、我々の施設で人工股関節置換術を行う限り、「術後してはいけないこと」「退院後の制限」は原則として一切設けません。当専門外来では、医師をはじめ、看護師、リハビリテーションのスタッフが股関節疾患に特化して治療にあたるようにしているため、股関節疾患に関しては全国で最先端の治療を、自信を持って提供させていただきます。